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Ri棚田学会
Rice Terrace Research Association
rrce Research Association
                     世界農業遺産(日本)

棚田の定義
棚田の起源
棚田の意義
棚田の種類
文化的景観

世界農業遺産(日本)
                   世界農業遺産とは
世界農業遺産Globally Important Agricultural Heritage Systems:GIAHSは、社会や環境に対応しながら何世紀にもわたり発達し、形づくられてきた農業上の土地利用、伝統的な農業とそれに関わって育まれた文化、景観、生物多様性に富んだ、世界的に重要な地域を次世代に継承することを目的として、2002年(平成14年)に国連食糧農業機関(FAO、本部:イタリア・ローマ)が創設した制度した制度です。

日本では以下の5個所が世界農業遺産に認定されています。
1.「能登の里山里海」(石川県能登半島、2011年6月)
2.「トキと共生する佐渡の里山」(新潟県佐渡市、2011年6月)
3.「静岡の茶草場農法」(静岡県、2013年5月、
4.「阿蘇の草原の維持と持続的農業」(熊本県、2013年5月)
5.「クヌギ林とため池がつなぐ国東半島・宇佐の農林水産循環」(大分県、2013年5月)

1.「能登の里山里海」の紹介
里山・里海を中心に守られてきた能登の持続的な農林水産業と、一般的に維持・保存されてきた伝統的な農業文化の姿が認められ、世界農業遺産に認定された。

@地域環境をいかした農林漁法と生物多様性が守られた土地利用
稲のはざ干しや海女魚といった伝統的な農林漁法と、水の少ない丘陵地における水源確保のための「ため池」を利用が継承されている。
   
        能登の海女魚               能登の昆布業

A里山里海に育まれた多様な生物資源
暖流と寒流の合流地点付近で、気候的に変化に富んでおり、里山里海に育まれた多様な生物資源が存在しています。

B優れた里山景観
幾何学模様を描いて海岸まで続く棚田や、茅葺や黒瓦の屋根といった伝統的佇まいを残す農家など「優れた里山景観」が守られています。
   
          白米の千枚田          輪島市・大沢集落の間垣
C伝えていくべき伝統的な技術
揚げ浜式製塩法や炭焼きなど「伝えていくべき伝統的な技術」が残されている

  玖珠市清水町の揚げ浜式製塩法

D文化・祭礼
「あえのこと」や「キリコ祭り」など、長い歴史の中で育まれてきた伝統文化や祭礼が、現在も色濃く継承されていることなど、数多くの資産に恵まれています。
  輪島市三井町の「あえのこと」

2.「トキと共生する佐渡の里山」の紹介
トキが棲める豊かな生体系を維持した里山と、生物多様性を保全する農業の姿が認められ、「トキと暮す郷づくり」を進める佐渡の里山が世界農業遺産に認定されました。

@豊かな生体系
佐渡は一つの島として珍しく、1,000m級の山々が連なる山脈をもつ島です。山や深い森がもたらす恵みは大きく、トキが野生復帰できる豊かな生体系が維持されています。トキのエサ場となる水田など佐渡の農業は、金山の歴史と深く関わることにより生物多様性も保全されました。
 佐渡市生椿の「トキのエサ場」

A金山を抜きにしては語れない佐渡の歴史
江戸時代初期に金山が発見された佐渡島は、江戸幕府直轄の天領となり、豊富な金銀の産出で隆盛を極めた。江戸時代、金銀山の採掘等を目当てに、全国各地から労働者たちが、佐渡に集まり、人口は10万人にものぼりました。島に流入した沢山の人々の食を賄うために、島民たちは山の斜面を開墾して棚田を作った。これらの水田を用水を汲み上げるために、金山の坑排水技術「水上輪(すいしょうりん)」が活用されました。
  
   佐渡の金山「道遊の割戸」         佐渡市岩首「岩首の棚田」

B独自に発展した佐渡の伝統文化
幕府の直轄地だった佐渡には、江戸から物資が運ばれてきました。運ばれてきたのは物資だけでなく、島になかった新しい知識や技術、他の地域の文化・芸能がもたらされました。
例えば、古くから田の神に豊作を祈る農耕儀礼「佐渡の車田植」は、今も引き継がられ、国の重要無形文化財に指定されています。かって佐渡の葉200以上の能舞台あったと言われています。現在は30余に減ったとはいえ、の本の能舞台の3分の1が佐渡に集中しています。
  
  佐渡市北鵜島「佐渡の車田植」      佐渡市羽茂の「草刈神社の能舞台」

Cトキの野生復帰活動を生んだ農業システム
佐渡の経済を支えた金山も、明治時代になると産出量も減り、衰退してゆきました。
かって北海道から九州まで広く生息していたトキは、乱獲や開発によって、激減しました。最後の生息地となったのは佐渡でした。佐渡では、トキの野生復帰となるエサ場を確保し、生物の多様性を保全するため、地域に残されれてきた農業システムを着目し、環境に配慮した農業を進め、ビオトープや水田魚道の設置、冬みずたんぼ(冬季湛水)の導入に取り組んでいます。
 佐渡トキ保護センターの「トキ」

3.「静岡の茶草場農法」の紹介
静岡県に広がる茶畑の風景は、訪れる人に静岡らしさを感じさせてくれる風景である。この茶畑の周囲をよく見ると、茶園に敷く草を刈る「茶草葉(ちゃぐさば)」が点在している。「茶草葉」では農家の方々の努力によって、豊かな生物多様性がされてきた。農表と生物多様性が高く評価され世界農業遺産に認定された。
 掛川市東山の茶園 茶文字が見える

@「茶草場農法」とは
茶草場農法とは、茶園の畝間にススキやささを刈る敷きを行う伝統的農法のことです。この茶草よって、茶の味や香りが良くなると言われている。茶園の周辺にある「茶草場」のススキ等を刈って茶園の畝間を敷く作業が行われている。秋になるとは刈られ、刈られてたススキを束ねられて干している風景を見ることができる。ススキは長い時間をかけて土に還る。「ススキ」が分解されて出来た土は、手に取るとふんわりと崩れてしまうほど柔らかい。茶草場のある茶畑では、その土で茶の木の根本に覆い、茶栽培がおこなわれている。

                   ススキが茂る「茶草場と茶園」

  
    茶草の乾燥「かっぼし(刈り干し)」         茶園に敷かれたススキ     

A「茶草場農法」が守ってきたもの
静岡県では草刈場が脈々と維持されてきた。広大な一面の草地があるわけではないが、茶園と草刈場とがモザイク状に分布している。茶園を10とすると草茶場7の割合で茶草場が分布している。茶園の周辺は「半自然草地」が維持されている。草を敷くことによって、茶の品質が良くなることから、茶農家の方々は手間を掛けて、草を刈り、草を敷いてきた。この茶づくりのこだわる思いが、全国から失われつつある里山の草地の生物多様性の維持に役立っています。

  
  草茶葉で見つけた「カケガワバッタ」
       草茶葉で見つけた「キンラン」


4.「阿蘇の草原の維持と持続的農業」の紹介

世界最大級の阿蘇のカルデラ周辺に広がる草原。その持続的な活用を通した環境型農業の結果として、自然環境が保全されてきました。「阿蘇の草原の維持と持続的農業」として世界農業遺産に認定されました。

@草原を活用した伝統的な農業
阿蘇は温暖湿潤な気候にもかかわらず、野焼き、放牧、採草という人々の農業活動によって草原が維持されています。また、草原は牛馬の放牧の場として利用され、草が牛馬の飼料や野草堆肥などに活用されるなど、阿蘇の農業に欠かせないものになっています。
 野焼き c:上野 裕治

A貴重な草原性動植物の保全
人々の長年の営みによって維持されてきた草原では、ヒゴタイやオオルリシジミなどの希少な動植物が数多く見られ、日本がユーラシア大陸と陸続きであったことを示す植物も多く残っています。
 野焼き後の5月 c:上野 裕治
B美しい景観の維持と水の恵み
20,000haを超える広大な草原から森林・水田へとつながる壮大な景観が広がっています。更に、草原や水田の水源涵養機能により、下流の豊かな水の恵みをもたらしており、北部九州の「水がめ」と呼ばれています。

C農耕祭事が息づく伝統文化
古来より、阿蘇火山と共生しながら農業を発展させてきました。おんだ祭りや火振り神事など、農業と密接に結び付いた祭りや儀式が数多く残されています。

D草原の恵みを受ける多彩な農林産物
火山性土壌にもかかわらず、あか牛、米、野菜、花きなど多彩な農林産物が生産される阿蘇。農業が長きにわたり、草資源を活用し、土壌の地力を高めてきた努力が今に受け継がれています。
  
       放牧される牛              草原:草千里ガ浜

5.「クヌギ林とため池がつなぐ国東半島・宇佐の農林水産循環」の紹介
宇佐神宮を中心とした千年以上続く「国東半島・宇佐地域」の伝統的な農耕文化やくらしと密接に結びついた民族宗教文化の歴史が世界遺産に認定されました。
       
     中世より変わらない光景を見せる、豊後高田市田染小崎地区の田園風景



                 
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